虚 証 きょしょう (虚症)

虚 証 きょしょう (虚症)

いつも元気な人と、今一つ調子が上がらない人がいますよね

あなたはどちらですか?


ご自身の体質を理解することは、健康管理の第一歩
体質によって、出やすい症状や効果的な対処法が異なります

今回は不調を訴えることの多い、虚証に絞ってまとめました

体格がよく、いつも元気で活動的な方は実証
あまり身体を動かすのが好きでなくて
身体が冷えやすく、痩せか浮腫み易い方は虚証

虚 証 きょしょう (虚症)

実証と虚証に大きく大別されますが、両方の症状の出る
中間証もあります
実証の方は元気そうに見えますが、実際は不調を感じ難くく
気づいた時には病が進行していて、手遅れになることも
虚証の方は一病息災で、長生きするケースも少なくありません

虚 証 きょしょう (虚症)

中間証は実証と虚証の症状が出るので、不安定になりがち
働き盛りの世代や、実証から体力が落ち始めた中年の方が
当てはまることが多く、ストレスや過労か、運動不足によることが多く
不安定な熱性の症状が多い
柴胡剤は自律神経調整作用があり、よく用いられる
りせいの健康のツボ No.34 柴胡剤 No.30 サポニン No.29 瘀血 No.35 血流

虚 証 きょしょう (虚症)

実証・虚証 チェックシート
ほぼ同数の結果が出た方は「中間証」です

虚証の方は、食が細く、体型はいわゆる水太りか、痩せ型
声は弱々しく、皮膚にはつやがなく、筋肉は弾力がない
とくに腹筋は薄くて弾力がなく、軟弱無力、硬結があることも
食べるスピードは遅く、食べ過ぎると胃もたれを生じやすく
冷たいものを食べると腹痛や下痢を起こすこともある
暑さや寒さに弱く、夏はバテ気味で、寝汗をかく人が多い

虚 証 きょしょう (虚症)

虚 証 きょしょう (虚症)
陰陽のバランスの崩れで不調が発生する

実証の場合
過剰な寒熱の病邪を除去し、バランスを回復させる
鍼治療で外邪を取り除く、瀉(しゃ)法が向いている

虚証の場合
虚証の寒熱は、陰陽の不足でバランスを崩すことによる
不足を補い陰陽のバランスを保てば、寒熱は除かれる
虚証の寒熱は内傷病に多く見られ、治療原則は補法で
お灸による補法が向いていることが多い

虚 証 きょしょう (虚症)

虚証のタイプには気血水により6つあります

虚 証 きょしょう (虚症)

気虚、血虚、陽虚、陰虚のどれに当てはまるかな

虚 証 きょしょう (虚症)

病の進行イメージ略式図
右に行くほど病が深くなります
気と血が同時に弱る気血両虚証
陰と陽が同時に弱る陰陽両虚証が起こることもあります

参考までに漢方薬のご紹介もしておりますが
服用の折には、医師、薬剤師にご相談ください


1 気虚証タイプ(気虚 タイプ)

○ 元気がなく、疲れやすく、 集中力が続かず、いつも眠い
○ 顔色が悪く、カゼをひきやすい
○ 呼吸が浅く、息切れしやすく、ぼそぼそ話す
○ 食欲があまりなく、空腹でも食べなくても平気
○ 暑くもないのに、動くとすぐ汗ばむ
○ よく立ちくらみを起こす
○ 太り気味でプヨプヨしている、または筋肉が少なくやせている
○ 内臓下垂がある(この場合は、気陥証タイプとして分けることもあります)

虚 証 きょしょう (虚症)

すぐに汗をかくなどの症状を東洋医学では自汗といいます
自汗は気虚が原因。汗腺を東洋医学では腠理(そうり)と呼び
汗腺から外邪が侵入すると古来より考えてきました
生体の体表の防衛力を衛気(えき)といいますが
衛気が不足(気虚)で汗腺を閉められず、過剰に汗が出ます
汗腺は交感神経のみの支配になるので、気虚の方は交感神経が緩まなくなっている
No.57 汗と交感神経 その2 No.49 汗と交感神経 その1

虚 証 きょしょう (虚症)

気虚の舌質(左上) : 淡白、胖大、歯痕  
苔が白っぽく、腫れぼったく歯のあとが付くことがあり
乾燥はしていない
気虚が進むと瘀血を生じることがあり、中年以降でよく見られる

虚 証 きょしょう (虚症)

虚証は胃腸が弱る、脾気虚から始まることが多いので
中脘のお灸で胃腸を回復させ、気を作れるようにします

鍼 灸 : 胃、脾、肺、大腸、膀胱経にお灸

虚 証 きょしょう (虚症)

食 事 : 気を補うためには、何より新鮮なものを摂りましょう
朝はしっかり摂り、冷たいもの・生ものは控えめに
朝食で蛋白質をしっかり摂りましょう。炭水化物の食べすぎは逆効果
温かくて消化がよく、ネギやショウガのような辛味成分と一緒に

胃腸の負担になる冷たいもの、生もの、油っこいものは控える

からだを温め、消化機能を高める食材
肉類や、豆類、魚介類、卵、山いもなどは、身体を温めます
甘い野菜、さつまいも、かぼちゃなどや、辛味のしょうが、ねぎ、
機能性成分を多く含む玉ねぎ、大豆、きのこなどもおすすめ

生 薬(補気剤) : 人参、黄耆、甘草、大棗、白朮、茯苓

漢方薬 人参湯(胃弱、下痢)四君子湯六君子湯(胃の水はけが悪い)
桂枝人参湯(胃が冷え汗が出る)補中益気湯(午後に微熱が出る)
十全大補湯(普段は元気な方、気血両虚)
人参養栄湯(食欲が無く痩せている)

2 血虚証タイプ(血虚 タイプ)

○ やせ気味で、肌につやがなく、抜け毛が多い
○ 唇や爪の赤みがなく、爪が割れやすい
○ 動悸をやめまいを起こしやすい
○ 冷えを感じ、手足がつる、あるいはしびれる
○ 便が乾き気味で硬め
○ 眠れない、または夢を見ることが多くて熟睡感がない
○ 女性は、月経血量が少なく、周期が遅れやすい
○ 踵のひび割れ

虚 証 きょしょう (虚症)

血虚の舌質(ひだり右下) : 舌がやや痩せて薄く、乾燥気味
または裂紋(れつもん:溝や割れ目)があることも
色はやや淡白、苔はうすく少ない

虚 証 きょしょう (虚症)

虚 証 きょしょう (虚症)

血虚では身体が消耗し枯れてきている印象を受けます

鍼 灸 : 胃腸を回復させ、造血作用を回復させるために
胃、脾、肝経を中心に、鍼灸を行います

虚 証 きょしょう (虚症)

食 事 : 補血のため、動物性の赤いお肉がお勧めです
レバー、牛肉の赤身、まぐろ、かつおなどと、豆腐や納豆などの
植物性たんぱく質を、重たく充実した野菜や穀類をとりましょう
鉄欠乏の貧血から血虚になっている場合もあります。特に閉経前の女性、高齢者は要注意です
No.71 鉄欠乏貧血

生 薬 : 芍薬、当帰、川芎、地黄、阿膠、

漢方薬 : 四物湯(貧血)、帰脾湯(不眠、健忘症)
当帰芍薬散(更年期、自律神経失調症)、温経湯(下焦の冷えに)
気血両虚 : 八珍湯十全大補湯


3 津液虚証タイプ(津虚 タイプ)

津液のはたらき
●津液とは東洋医学で言う血以外の体液のことで、飲食物が胃腸で
変化して出来たもの。脾(胃腸)で出来た津液は、脾と肺と腎の働きで
三焦を通路として全身に送られ、体の各部を潤す働きをする
●体表に運ばれた津液は肌や髪の毛などを潤し
体内にある津液は臓脇を潤し、関節内や骨髄にも入っていって
関節を滑らかにし、骨髄や脳髄を潤します
●汗や涙、つば、よだれ、鼻水は津液の代謝物で、五液といい
それぞれ心の液、肝の液、腎の液、脾の液、肺の液といわれ
五臓で生成される。津液は血を生成する際に、原料となる
●全身で利用され不要になった津液は、腎に送られ、膀胱から尿として排出

虚 証 きょしょう (虚症)


○ 全身が乾いて、肌、鼻、のど、唇、口が乾く
○ 髪につやがなく、目がくぼんで、声がかすれる
○ 関節が動きにくい
○ 尿量が少なく、大便燥結(便からも水分が搾り取るから)

津液の不足は、血漿量の不足に直結し、粘膜が乾燥してきます
体温が上がった時、お風呂や寝具で暖まると空咳が出ることも
末梢への血流が増えると、粘膜への血漿量も減少し、乾燥する
粘膜の乾燥は感染症のリスクを上げるので、気を付けたい
熱中症などの脱水利尿剤系の降圧剤、下剤などでも津液不足に
汗をかく環境や運動、寝不足は避けましょう

虚 証 きょしょう (虚症)

舌 質 : 乾燥、無苔(苔が無い)

鍼 灸 : 脾胃、腎、膀胱、心包、肺、大腸経に鍼灸を行う

食 事 : 山芋、れんこん、百合根、梨、豆腐、トマト、白きくらげ
魚介類、肉類、はちみつ、刺激の多い香辛料は避ける
果物など「甘」と「酸」の味のものを飲食すると良い

生 薬 : 地黄、阿膠、麦門冬、人参

漢方薬 : 麦門冬湯(咽の乾燥)、清暑益気湯(熱中症、脱水)
水分摂取しても直ぐに利尿の場合 六味地黄丸(便秘し易い)、八味地黄丸(冷えあり、下痢し易い)


4 精虚証タイプ(精不足 タイプ)

精には生れつき体にある先天の精と、食べ物から作られる
後天の精
があり、先天の精+後天の精=原気(元気)
先天の精は腎に貯蔵されており、後天の精は脾で作られます
精は成長や生殖、老化と関係し、足りないと腎の働きが悪くなります
年齢を重ねると、抜け毛や歯の衰え、聴力の低下、腰や膝の痛み
認知症等が起こりますが、これらも精の不足が原因とされます
腎陰虚、腎陽虚のどちらも有り得ます

虚 証 きょしょう (虚症)


○ 足腰が弱く、 力の抜けるようなめまいを起こす
○ 歯がグラグラし、抜け毛や白髪が多い
○ 聴力が弱く、低い音の耳鳴りがする
○ 尿漏れがある、または尿の出が悪い
○ 物覚えが悪い、または物忘れがはげしい
○ 女性の場合、月経の開始が遅い

舌 質 : 淡白、薄白で痩せ裂紋がある

鍼 灸 : 脾、腎経に鍼灸で補気補血を行う
三焦(上焦、中焦、下焦)の交通が滞っているので、三焦経、任脈、督脈を鍼灸で整える
原穴を中心として、合穴から補法を行う

食 事 : 動物性、植物性の蛋白質をしっかり摂りましょう
旬の野菜や果物、根菜類、とくに山芋など粘性のあるもの
トマト・きゅうり・白菜・ナス・小松菜・春菊・ごま

冷たいもの、強い香辛料、酒、コーヒー
アロエ、センナ、大黄などの下剤、ダイエット食品は避けましょう

生 薬 : 地黄、枸杞子、阿膠(あきょう)、鹿茸(ロクジョウ)

漢方薬 : 虚熱五心煩熱(胸、手足が火照る)の時には六味地黄丸
冷え伴う場合には、八味地黄丸
下腿の浮腫みのひどい場合は牛車腎気丸
No.24 補腎剤


5 陽虚証タイプ(陽虚 タイプ)

陽虚は、気虚が進行し、からだを温める作用(温煦作用 )が
低下
したもので、さまざまな冷え症状があり、気虚の症状を伴う
陽虚を起こしやすい臓腑は心・脾・肺・腎

○ 顔色が青白く、手足または全身が冷える
○ 寒がりで、温かいものを好む
○ 寒いと調子が悪く、温まると良くなる
○ うずくまって横になりたがる
○ 頻尿、または尿の色が薄く量が多い
○ 下痢しやすい
○ 気虚証タイプの症状を伴う

虚 証 きょしょう (虚症)

舌 質 :  淡嫩(たんどん) 白っぽく、ツルっとしている
身体のエネルギー不足

鍼 灸 : 気虚を起こしやすい脾・肺・腎にお灸で補気し
ストレスがある場合には心陽虚を起こしているので
心系にお灸で補気し、心包系に鍼で寫します
肺経の募穴の中府穴に緊張が出るので、出ている側の肺経、大腸経を中心に補法を行う

食 事 :  陽気を補う食材&スパイスを上手に使う
冷えを改善するためには、魚介類、肉類、豆類などを摂りましょう
温かいスープや鍋料理にするとなおよい

夏野菜の生食は避け、加熱しスパイスと上手に組み合わせる
シナモン、ターメリック、こしょう、山椒、八角、しょうが、にんにく
ねぎなどのスパイス類を上手に使いましょう

生 薬 : 人参、黄耆、、乾姜、附子

漢方薬 : 理中湯(人参湯)附子理中湯四逆散八味地黄丸


6 陰虚証タイプ(陰虚 タイプ)

陰虚は、陰液(おもに津液)の熱を冷ます作用が低下しているので
さまざまな熱症状が出ます
血液・体液の減少や、慢性疾患で体力が低下した方や
生来の虚弱体質の方などにみられます
陰虚は主に腎陰虚のことで、陰虚の程度が比較的軽い方は腎陰不足
陰虚の方は自律神経に混乱をきたして、ほてり感や熱感を訴えます
これを虚熱または陰虚内熱といい、自覚的な熱感や微熱であり、高熱はない
肺結核や自律神経失調症などの慢性疾患によくみられます

虚 証 きょしょう (虚症)


○ 顔がほてって頬が紅い、手足がほてり、のどが乾きやすい
○ 夕方から夜に微熱が出やすい
○ 眠れない、または夢を見ることが多くて熟睡感がなく、寝汗をかく
○ 朝早くに目覚め、早朝に下痢気味に便が出る(五更泄瀉
○ 温まったときや夜間に具合が悪くなりやすい
○ やせ気味で尿の色が濃く、便秘気味

秋は夏の脱水もあり、やや気温も下がるので水分摂取が疎かになる
お風呂や寝床に入って、身体が温まると末梢に血液が行き渡る様になるので
空咳が出る、津液不足、粘膜を潤すだけの血漿流量が減少している
津液虚証でも同じことが起こる

虚 証 きょしょう (虚症)

舌 質 : 紅く乾燥、苔が少なく裂紋(れつもん)がある
体液(水分)が不足していることを意味する

鍼 灸 : 腎、膀胱経の鍼灸で滋補腎陰を行う

食 事 : 陰虚証の人は、肺結核などに冒されていくケースがある
肉類、魚介類、豆類など良質のたんぱく質が有効
身体を冷やす、カフェインやタンニン、アクの多い野菜や果物は避ける
柿はタンニン、コーヒーのカフェイン、水分の多い梨、みかんなどは
胃腸を冷やすので、多くならないようにしたい

生 薬 : 地黄、枸杞子、山薬、阿膠(あきょう)、鹿茸(ロクジョウ)

漢方薬 : 六味地黄丸(六味丸)滋陰降火湯


かなり長くなりましたが、ご自身の健康レベルの理解の参考になれば幸いです
迷った場合には、より病の進行した対策からされて行くと良いですよ

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健康のツボ No.39 虚証


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